No.213(2023年10月号)

特  集 ◆ シリーズ清水 2023◆海のみらい静岡友の会

近隣県・市の交流事業で海・清水の魅力発信

山梨県と長野県は海に面する静岡市のすぐ近く。

けれども海はちょっと遠い存在。

中部横断自動車道が開通してだいぶ身近になりました。

だから、海と清水の魅力を知ってもらいたい。

「海のみらい静岡友の会」は交流事業にも力を入れます。

 

楽しいことから海を学ぼう「海のみらい静岡友の会」

 清水港は静岡県のほぼ真ん中に位置し、経済を支える国際拠点港湾であり、大型外国客船が寄港するなど人々の賑わい溢れる港であると同時に日本一深い駿河湾に面し、富士山と三保松原などの景観といった自然に恵まれた訪れる人にとって優しく穏やかで美しい港です。

 静岡商工会議所では静岡市にとって大事なこの港(海)を多くの人に知ってもらうため、まずは海に興味を持って欲しいという考えから「海のみらい静岡友の会」(以下「友の会」)を設立しました。

 「未来を担う青少年及び市民の皆さんに海や自然に親しみながら、海洋・地球への知識や重要性を普及・啓発するとともに、将来における海洋文化を担う人材を育成すること」をモットーに海について分かりやすく、かつ楽しくて親しみやすいイベントを企画・開催。参加者は様々な体験を通じて海への関心が高まると同時に理解を深めています。

 イベントには主に友の会の会員である小・中学生とその保護者に参加を募集。様々な分野の専門家からの講義を聴いて専門的な知識に触れ、時には体全体を使って海の魅力を体験しています。(会員以外の一般参加も可能な場合もあります)

 子どもの頃から海に親しみ、興味を持つことで将来、会員の中から海や港に精通した若者が育ち、海や港を活用した静岡市のまちづくりを担う人材が誕生することを友の会では願っています。

 

会員・甲府市民交流事業望星丸乗船研修

 友の会では様々なイベントを企画・実施していますが、特に注目したいのが近隣県・市との交流事業です。

 中でも恒例になりつつあるのが山梨県甲府市民との交流事業です。

 山梨県は静岡県と隣接し、清水区からは国道52号線でつながる身近な隣県ですが、中部横断自動車道が開通してからは更に、交流が活発になりました。

 この中部横断自動車道の利便性を実感してもらうと共に、清水区の魅のひとつである海を体験し、清水へ足を運んでもらうきっかけづくりの一環としてイベントを企画しています。

 今年は友の会の大人気イベントとなっている東海大学が所有する海洋調査研修船〈望星丸〉の体

験乗船・海洋セミナーに山梨県甲府市のみなさんと会員が参加し、体験やセミナーを通じ交流を深

めました。

 清水港から駿河湾へ向かった望星丸内でのイベントは、航行中の船内で東海大学の教授から駿河湾に関する講義を受けたり船内の見学も実施。お馴染みとなったプランクトンネットを使った深海の生物調査に加えプラスチックカップやキャベツやキュウリ等の野菜を深海に沈めてそれらの変化を見る水圧実験が行われました。

 実施当日は台風の影響が懸念されましたが、良い意味で予想を裏切る穏やかな海と、真夏とはいえ暑すぎる日差しと青く広がる海に迎えられ、楽しく充実した一日となりました。

 と、全てが順調だったと言いたいところですがやはり、台風の影響が残っていて、航行途中にはウネリによって船が揺れる場面もあり、参加者の中には船酔いになってしまった方もいましたが、これもまた海洋体験の醍醐味のひとつ。ちょっと苦い体験も後にあれも良い経験だったと振り返る日が来ると思います。さらに、この日は偶然にも清水港に超大型客船「スペクトラム・オブ・ザ・シーズ」が寄港しており、洋上から見たその姿は格別だったと思います。

 

実は清水と長いお付き合い佐久市交流事業

 近県市交流事業として、今年初の試みとして長野県佐久市との交流事業が実施されました。

 長野県佐久市と言えば、清水にとってゆかりの深い市です。

 始まりは昭和44年に佐久市の公民館移動青年学級が旧清水市で開かれ、双方の青年学級生の交流が開始されたことでした。これを契機に翌年、旧清水市から大勢の青年が佐久市を訪れたことで、交流が深まり旧清水時代の平成元年に友好都市提携の締結がなされました。

 新静岡市が誕生した後もこの提携は引き継がれており、特に市民レベルでの交流は今でも盛んに行われており、今年も9月16日〜17日にかけ清水区連合体育会による〝佐久市スポーツ交流会〞が行われたばかりです。

 佐久市は山梨県甲府市同様に山に囲まれた市。話を伺うと「海と言えば、日本海の方が太平洋に比べれば馴染みがあるかも。」との声が聞かれましたが「馴染みが」と言うほど海に行く頻度は高いわけではなく、やはり海へ行くのは一大イベントといった感じを受けました。

 今回、1泊2日で清水を訪れた一行は清水区の三保で海に関する講演、ミズウオの解剖見学、ビーチコーミング、海釣り体験、マリンスポーツ体験( S U P 体験、カヌー体験、清水港クルーズ体験)と海を満喫した充実の2日間を過ごしました。

 ほとんどの参加者にとってどの体験も初めてのことばかり、子どもたちの多くは海に触れること、入ること自体が楽しかったり、大人たちもそれぞれが楽しみにしてきた目的の体験を存分に満喫している様子でした。

 参加者からは「迎えて下さった清水の方は、みなさん暖かい方々で、清水の魅力を存分に味わうことができました。また清水に遊びに来ます。」と言った嬉しい言葉と共に、「次の企画も楽しみにしています!」との声が早々に上がっていました。

 中部横断自動車道は現在、長坂JCTから八千穂高原ICまでが未開通ですが、今後、全線開通が期待されています。

 「君は太平洋を見たか、僕は日本海を見たい」は中部横断自動車のキャッチフレーズです。

 この言葉どおり将来は佐久市のみなさんが清水に、こちらからは佐久市へと気軽に出かけられる日が来るのを楽しみにしたいと同時に、その日までこのイベントが両市をつなげる絆のひとつに成長できると良いと思いました。

 

甲府市民交流事業 望星丸乗船研修参加されたみなさんの感想

○ カップを水にしずませてカップが小さくなることがおもしろかったです。初めての船で長い時間のれてよかったです。深海の生き物が見れてこんな生き物がいたとはしらなかったので初めてしれてよかったです。 (9才 女児 甲府市)

○ プランクトンの入ったトレイは眺めているだけで楽しかった。知らない生物がたくさんいてワクワクした。早起きして来た甲斐があったと思う。(山梨だけに) (15才 男児 甲府市)

○ 乗ることの出来ない船に乗り、貴重な体験が出来ました。海底の生き物や地形を知りながら、コップや野菜使った実験は面白かったです。背景の色で見つけやすかったり、見つけにくかったりする生物によって住んでいるところが分かる話も、なるほど!と発見できました。 (40代 女性)

○ 望星丸の事、するがわんの事をいろいろしれてよかったです。日本で一番深いのはするがわんだと初めて知りました。望星丸に乗れてよかったです。このことをわすれないために自由研究にもしようと思っています。 (10才 男児 甲府市)

○ 初めて望星丸にのって、とても新せんな体験ができました。中でも印象深かったのが深海に野菜を入れてつけものにする実験でした。なぜならぼくは夏休みの自由研究でつけものを研究するので、その研究に使えることです。 (12才 男児 静岡市葵区)

○ 初めての乗船で駿河湾を訪れ、駿河トラフのこと、海底がどの様な形になっているのか、又、深海100m位で何も見えなくなってしまうこと、そして深海生物の採取の仕方や、どんな生き物がいるのか、今度の経験で少々理解することが出来ました。 (60代 男性 静岡市葵区)

○ 船の中にいてもつねに波でゆかがゆれていて、ふんばって歩いていないと転んでしまいそうになったところが地上とは違う感覚でおもしろかったと思いました。望星丸の洋上けん修は、とても良いけいけんでした。ありがとうございました。 (10才 男児 静岡市清水区)

○ 今日初めてとても大きいふねにのり、とてもたのしかったです。特に、つけものづくりとえびなどのかんさつがたのしく、山梨には海が無いのでこのようなけいけんはしんせんでとてもわくわくしました。 (10代 女性 甲府市)

○ 初めて調査船に乗りました。いろいろ普通の船にはない機械等があり興味深かったです。こんなにゆれるのも初めてでしたが、案外大丈夫なものですね。子供はよってしまい、せっかくの体験を楽しめなかったのが残念です。 (40代 女性 伊豆の国市)

○ 思っていたより船がゆれたので少し怖かったですが、でもワクワクしました。酔わなくて良かったです。またプランクトンネットを沈めて回収するところが見れたのも良い経験ができました。南アルプスとそこから流れる川と駿河湾のつながりも知ることができました。 (50代 女性 浜松市)

 

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