No.212(2023年8月号)

特  集 ◆ シリーズ清水 2023◆マリンレジャーが楽しい三保

未来の可能性無限大

三保で夏を遊ぼう

三保内浜エリアのマリンレジャーと美味しい農産物

今年も暑い夏がやってきました。

待ちに待った制限のない夏の到来です。

夏と言えば〝海〞。 海には楽しい遊びがいっぱいです。

清水区の海と言えば三保ですよね。

さぁ、この夏は三保へ遊びに出かけましょう

 

清水で唯一の三保内浜海水浴場

 アウトドアレジャーと言えばキャンプ、バーベキュー等が浮かびますが、夏と言ったらやっぱり海水浴は外せませんよね。現在、静岡市内には2つの海水浴場が開設されており、その一つが「三保内浜海水浴場」です。

 今年は7月15日に海開きし、8月20日まで利用が可能です。

 かつてはひと夏に約30万人もの来客があったこの海水浴場ですが、昭和40年代をピークにレジャーの多様化など様々な流行りの移り変わりから今では当時の面影も知る人ぞ知る、そんな状況です。

 しかし、昔も今も変わらないのは穏やかな海岸。三保半島に抱かれた内浜は波が静かで遠浅のため海水浴等様々なマリンレジャーを楽しむのに最適なエリアとなっています。

 海水浴区域はブイで囲まれており、ライフセーバーが常駐、近くにはトイレ・シャワーもあり、メジャースポットのような混雑もないため、のんびりと過ごすにはもってこいの海岸です。

 

三保内浜エリアをマリンレジャーの拠点へ

 近年、にわかに三保内海をマリンレジャーの拠点に、と様々なメディアが取り上げたことで再び三保内浜エリアに注目が集まっていますが、なんと地域活性化情報誌「イノセント」では19年前「三保をマリンレジャーの拠点へ。」の特集記事を掲載しています。

 当時の記事を振り返ってみると海洋体験プログラムの紹介や観光ビジター・インフォメーション・センター設置の提言、拠点づくりに向けて地元民の意識の醸成や景観保全に対しての環境問題の喚起にも言及し三保の可能性と将来に向けた提言等の記事を掲載していました。

 三保内浜海岸は「三保松原」を背後に持ち、風光明媚で自然豊かな天然の海浜地であり、穏やかな海面により一年を通じてマリンスポーツが楽しめます。交通アクセスも良く、陸上交通に加え水上バスによる発着も可能といった魅力も備えています。

 しかし、これら三保内浜(海)の持つポテンシャルが十分に活かされているとは言えず、利用(来訪者)に対して質の高いサービスがされていない事が長年の課題でもありました。

 そこで三保内浜エリアを管理する静岡県は、海浜地とその周辺エリアの管理運営を事業者に委ね、より質の高いサービスを提供すること(エリアマネージメント)により、住む人も訪れる人も愛着と魅力を感じる水辺空間を目指すべく昨年、運営事業者を公募した結果(一社)清水マリン・アンド・ビーチスポーツ振興協会、㈱gosae s、㈲nac の3団体から成る「三保内浜コンソーシアム」に今年の4月から占有許可を与えています。

 これにより三保内浜海岸を一元管理し、民間のアイディアを活用することで官民一体となった

「統一感ある美しい海浜地を形成し利用者により質の高いサービスを提供」を目指し、今後より一層の開発が進められていくことと思います。

 イノセントとしても今後の進展に期待したいと思います。

 

始めよう「パドルフィッシング」

 ここで、実際のマリンスポーツの魅力に迫るべく、株式会社バイファールさんにお話を伺いました。

 株式会社バイファールは静岡のフィッシングメーカー、株式会社ジャクソンと大阪の高階救命器具株式会社のジョイントベンチャーとして立ち上げられたフィッシング・カヤック&SUPブランドで、昨年7月に三保内浜海岸にショップをオープンしました。

 「5年程前にカヤックと出会い、カヤックを漕ぐだけなく、気軽に気持ち良く釣りが出来ることに魅了されたのがブランドを立ち上げる切掛けとなりました。」と株式会社ジャクソンとバイファール2社の代表取締役を務める加藤慶太さん。

 「少し沖に漕ぎ出しただけで、岸からの釣りとは違った釣果を得られ、同時に自然(海)との一体感を得られることが魅力のひとつです。反面そこでは自然の厳しさを体験します。そのため〝安全〞に対して気配りすることも大事なスポーツです。そこで、カヤックフィッシングの魅力を発信すると共に、安全に楽しむためのマナーやルール、危険の回避等を全国に発信する啓発活動の拠点としての役割を担うことに力を入れています。その為にもフィッシングメーカーと救命具メーカーのコラボによるブランドと言うのは大きな意味があると思います。」とバイファール誕生について語りました。

 「三保内海は波が静かでビギナーにとってはとてもエントリーしやすい海域です。実際、カヤック体験は大人気で、地元はもちろん、国内各所から参加された方はカヤックと三保の魅力に魅了されています。

 手軽に始められるSUP(サップ)と、もう少し本格的なカヤック。どちらにも魅力があって、楽しみ方もそれぞれありますが、両者をつなぐファクターとなるのが〝釣り(フィッシング)〞であることから、これらをひとまとめにして〝パドルフィッシング〞と称し普及を進めてきたことでようやく少しずつですが認知されるようになってきました。」と言葉の一つに熱い想いがこもっているのが伝わってくる加藤社長のお話でした。

 「海上から世界遺産(三保松原)の景色を独り占めでき、目の前には富士山がドーンとある三保は県外から来る者にとっては最高です。」と話すのは、千葉県のカヤックショップスタッフで日本のカヤックフィッシング先駆者の一人と知られ、バイファールでテクニカルアドバイザーを務める赤澤克哉さんは県外

人ならではの魅力を話されました。

 「釣り好きが高じて、カヤックフィッシングの魅力にハマりましたが、三保はパドリングしやすくて、気持ち良く釣りが出来ます。海抜0メートルから見る景色は日常生活を忘れさせてくれる絶景。間近に大型タンカーやフェリーなどの船舶を見ることができるのも清水港の魅力のひとつだと思います。また、初心者にとって内海は練習と経験を積むのに最適な場所だと思います。」

 「カヤックの魅力は一言では表せませんが、船を出して漕いで、釣り場を探して魚を釣って、安全に帰ってくるまでの全てを自分一人でやることが楽しさのひとつ。中には困難なこともありますが、それを克服した時の達成感は格別です。全身運動のエクササイズになるので、僕なんか健康状態も問題なしです。( ※個人の感想です)」

 このように、お二人から語られたのはS U Pとカヤックの魅力と共に、三保内浜( 内海)の魅力でした。そして将来展望に言及された中では「三保内浜はカリフォルニアの西海岸のようになり得るポテンシャルを秘めているところであり、マリンスポーツ(レジャー)の聖地になると思います。」との言葉にはこれからの三保の可能性に益々の期待が膨らみました。

 

早期実現に期待活性化に導くハード

 ここまで三保内浜のマリンレジャーにスポットをあてて話を進めてきましたが、三保地区では他にも、将来に向け期待が膨らむ開発がいくつか進められていますが、ここではその中から2つ紹介したいと思います。

 まず一つ目は、三保半島の先端部に位置する貝島地区の廃棄物処理用地では海洋研究用地へとイノベーションが計画されています。用地を埋め立て海洋関連施設の集積を目指すもので、ゆくゆくは海洋調査探査船等の係留が期待されます。

 三保半島には東海大学海洋学部があることは知られており、駿河湾へのアクセスも良いことから海洋研究施設にはうってつけの場所と言えるのではないでしょうか。

 2つ目は、現在内浜に設置されている観光遊覧船、水上バスが発着する桟橋を大型のスーパーヨットの係留に対応する桟橋への改修する計画も進んでいます。

 スーパーヨットとは一般的に全長80フィート(24メートル以上)の大型クルーザーで広い居住空間をもち、高級ホテルのような豪華な内装を装備、ラグジュアリーヨット、メガ・ギガヨットとも呼ばれています。

 主に外国人富裕層が所有しているためスーパーヨットが寄港することで大きな経済効果が期待されます。

 どちらも三保において新たな景観を生み出し、三保の価値を底上げすることになると期待したいと思います

 

三保ならでは、旬の味覚も楽しもう

 これまでマリンレジャーについての話をしてきましたが、三保と言えばこれも忘れちゃいけないのが「美味しい農産物」です。

 ここでは三保半島ならではの土壌を活かした美味しい作物が四季折々に味わえます。

 今年、静岡で最も大きな話題の一つと言えば〝徳川家康〞ではないでしょうか。皆さんもご存じの初夢に見ると縁起が良いとされる「一富士二鷹三茄子」の由来は家康公が好んだものを並べた説、駿河の国(静岡県)の名産を連ねたものと諸説ありますが、この中で挙げられている茄子こそ、三保・折戸で生産され家康公に献上された「折戸なす」です。

 一般的に見慣れているナスとは見た目が違い、こぶし程の大きさの丸い形で堅い皮に包まれた中身は肉厚でジューシー、食べ応え抜群です。

 調理法は皮をそのまま器に見立てた田楽やグラタンに人気があるようですが、ひとくち大に切って素揚げにし、塩を振って食べるとナス本来のうま味が味わえると取材の中で教えていただきました。折戸なすのシーズンは6月上旬くらいから1月上旬くらいまで。夏の暑い時期はひと休みとなりますが秋ナスのシーズンにはまた店頭に並ぶと思いますので、手に取ってみてはいかがでしょう。

 折戸なすの他にも春から初夏にかけては枝豆、フルーツトマトと称されるレッドオーレ、メロン、ネギなど三保ならではの野菜があります。

 しかも三保地元の良いところはこの美味しい新鮮な農産物が手軽に手に入ること。昔ながらの細い道を歩けばあちこちの農産物の無人販売を見つけることができます。

 マリンレジャーの合間に三保半島を散策するのもいいですよ。