No.203(2022年2月号)

特  集 ◆ シリーズ清水 2022◆ 清水の元気を世界へ発信

清水駅東地区から世界へ発信

今、清水の壮大な構想を語る。

旧清水市と旧静岡市が合併して今年で19年。

20年を目前に今こそ清水から〝まちづくり〟に掛ける

熱い想いを語ろうではありませんか。

今年のイノセントは壮大な物語で幕開けしたいと思います。

スポーツパークタウン構想

清水駅東地区から世界へと構想を抱く「新サッカースタジアムを考える会」に出会いました。

清水区民の中には、〝サッカーのまち清水〟のイメージが市民感情に強く根付いています。何十年も前から培ってきた先人たちの偉業が、こうした市民感情を作り上げたのです。新サッカースタジアムを考える会では、ワールドカップを招致できるような4万人規模の新しいサッカースタジアムを造ることを提唱しています。そしてスタジアムの周りに多種な施設を併設し、スポーツパークタウンを現出させたいとの構想を持っています。

ここで重要なことはサッカー選手、観戦者、関係者だけのスタジアム建設でなく市民全ての人々が享受できる、サッカースタジアムを核としたスポーツパークタウンを提唱しているのです。

スポーツパークタウンというのは2024年に完成する長崎スタジアムシティや、北海道北広島市に2023年に出来る、日本ハムスタジアムのポールパーク街づくりのことです。目指すのは、長崎スタジアムシティのコンセプトのような「地域と日本を元気にする、スタジアムを核とした新たな街づくり」であり、清水においても、こうした先例のスポーツパークタウンを実現したいというのが真骨頂なのです。それには、スタジアムだけを造るのではなく、周りにいろいろなものが出来ないとニュータウンではないのです。

現在、政府は経済産業省とスポーツ庁が協働して「スタジアム・アリーナ改革」(略して「スタアリ改革構想」)として全国のスポーツ施設の見直し政策を進めています。ポイントは、かつてのような、「競技場」の概念を脱却して、スタジアムやアリーナによる地域振興、地方の経済活性化を図ることが、このスタアリ構想の最も大事な視点でありスポーツを起爆剤にして地方復興を図ろうとしているのです。そこで、スタアリ構想で常に言われているのは、スタジアムを造るのなら、「駅近」「街なか」にすべしということなのです。このスポーツ庁の提唱する、「駅近」「街なか」に全く合致する土地が私たちのすぐ近くにあるのです。街中にあることによって、ファンだけでなく市民がサッカー選手を間近にいつも見ることができ、選手は常にファンを身近に感じてプレー能力の高揚にもつながります。清水エスパルスを強くするためにも、新サッカースタジアムは必要なのです。

コンベンションホール併設も

新サッカースタジアムを考える会の重鎮たちは、スタジアムの周りに、大きなフードコートやショッピングモールなども併設すべき、と考えています。

2000人規模のフードコートも、アイデアの一つです。今後、新型コロナ感染症が抑制されれば大型客船の寄港や外国人観光客が倍増します。ここの人たちが食事をしようとする時、受け入れる所が清水にないのです。またサッカースタジアムに来場する人々が、サッカー観戦だけではなく、同時に楽しめる環境を造る必要があるのです。フードコート、ショッピングモール、ホテル、アミューズメントパーク、コンベンションホール、など、こうした施設をひっくるめて、スポーツパークタウンなのです。試合のない時でも年間を通して多くの人々を引き寄せることで、雇用創出、サービスの活性化、地域経済活性などが期待できます。

そして、さらに驚くべきことは、サッカースタジアムのみならず、その同じ場所に、コンベンションホールを併設すべきという考えです。有明にある「東京ビッグサイト国際展示場」の静岡版「静岡ビッグサイト」(仮)の設置を提唱しているのです。サッカースタジアムだけでは、賑わいの原動力にはなりません。「静岡ビッグサイト」の誕生は、中部横断自動車道を媒介にしてつながる地域、山梨、長野、新潟はもとより、富山、金沢方面とも人流、物流が活性化していくことが読めてきます。更に、フェリー乗り場が日の出から江尻港に移設されるので、伊豆との交流の結節点になることも目に見えています。このフェリー乗り場の移設に伴う拡充によって、伊豆方面との交流が増えてくれば、日本海から伊豆へ、或いは、伊豆から日本海へと続く一大ルートの中心が、静岡ビッグサイトと日本一のサッカースタジアムのある清水になるという発想です。

4万人規模のスタジアム待望

新サッカースタジアムを考える会ではこれまでにシンポジウムを2回開催してきました。

2020年2月9日、第1回シンポジウムをマリナートで開催した時は、テーマはズバリ、「新サッカー場が欲しい」でした。

パネラーに、綾部美知枝氏(日本サッカー協会参与)、西村 勉氏(清水サッカー協会理事長)、南部明宏氏(静岡新聞運動部記者)、齋藤賢二氏(清水東高校サッカー部コーチ)ら4名のサッカー関係者を招聘し、現況のサッカー場について、J1の基準に満たしていない点や交通アクセスの悪さなどの検証をした後、〝なぜ新サッカー場が必要なのか〟、新しいサッカー場を造るなら国際試合が可能な4万人規模のスタジアム待望論をテーマに白熱の討論が展開されました。

300人の参加者があり、アンケートを実施したところ、〝新サッカー場は本当に必要ですか?〟という質問に対し90%の人が「必要」と回答しています。次に、「もし新サッカー場が出来るとしたら何所がよいですか?」という質問に対し72%の人が「清水区で、JR清水駅に近い場所」と回答しています。

続いて第2回目のシンポジウムを、2021年7月16日、清水テルサで開催しました。パナソニックスタジアム吹田の建設に東奔西走された元ガンバ大阪代表取締役社長の野呂輝久氏と、牧田博之氏(清水サッカー協会会長)二人のパネラーが出演され、野呂氏からは、サッカースタジアムの造り方のノウハウを伝授していただき、建設資金集めからスタジアムの運営方法をはじめ、「これからのスタジアムのあるべき姿」の解説をしていただきました。

街なか、駅近、に生まれるスタジアムはその土地のシンボルであると同時に、地域に愛されるものでなければいけない。スタジアムが単独で存立するのではなく商業施設との複合型ゾーンでなければならない。そして、いざ災害時においては避難所として機能できる設計でなければならないという主張は、大勢の参加者を圧倒させました。

世界一の富士山借景を間近に抱くこの土地は発想次第で、本当に世界一になる可能性が見えてきたのです。

有志企業が動けば、この構想は現実となる。

また、新サッカースタジアムを考える会は知事や市長へも訪問を重ね、清水の起死回生の政策として新サッカースタジアム建設が必要であることを訴えてきました。市のスポーツ交流課や清水みなとまちづくり公民連携協議会のスタッフなどにも取材を重ね、新サッカースタジアム実現への道のりを研究してきました。

県議会議員、国会議員、市議会議員の有志の皆さんたちとも話し合いを重ね、研究・検証を続けています。

新サッカースタジアムを考える会の理念や考え方に賛同して頂いている方が今、約500人位います。

2020年の7月16日に、エネオス株式会社の大田勝幸社長と川勝平太県知事が会談しました。これは同社が清水駅東地区の清水製油所跡地に次世代型エネルギーの供給基地を造ることについて県が協力するという内容の会談でした。

この会談の中で注目したいのは、同社の遊休地のうち使用しない区域については、魅力的で持続可能な地域づくりのために役立ちたいという大田社長の発言です。地元でサッカースタジアムの待望論があることにも触れ、今後、事業を具体化していく中で検討する場面もあると思う、という発言には一つの光明を得たような感じでした。

2020年9月23日の市議会9月定例会では、エネオス株式会社所有の遊休地がサッカースタジアムの建設候補地の一つとして想定される可能性が高まったと言及されました。続いて2021年7月14日には、静岡市とエネオス株式会社が、清水区袖師地区にある同社の遊休地に水素エネルギーの利活用を含めた次世代型エネルギー拠点の推進と地域づくりに関する合意を締結しました。

また静岡市は調査専門会社デロイト・トーマツに委託し、全国のサッカースタジアム建設の先行事例調査を開始しています。今年3月には、この調査の成果が公表されると思います。

「清水みなとまちづくり公民連携協議会」というものが2018年にスタートしました。

県と市と民間が一緒になって、清水港と〝まち〟づくりを構築していくというプロジェクトです。 昨年12月から1月にかけて、この協議会が、清水駅東側地区のエネオス株式会社の土地を含めた領域について、今後どのようにしていくべきかについて、市民からの意見を募集しました。ここにサッカースタジアム建設の要望が多く集まることを期待しています。

最後にひと言

新サッカースタジアムを考える会の人たちは、ただ、新サッカー場を希求しているのかと思いましたが、とんでもない発想で、これは想定外でした。低迷した清水を、蘇生し、国際的な都市に改造するという考えが分りました。

まさに大胆不敵な考えを持つ人たちでした。

JR清水駅東地区にサッカースタジアムが出来たら、これは、日本で、駅に一番近いサッカースタジアムということで話題騒然となること間違いありません。

新しいサッカースタジアムとスポーツパークタウンが実現すればまさに、清水が世界からも注目を浴びる都市に生まれ変わることができるのです。それも、世界一の景観、霊峰富士山を借景できる土地だからこそです。